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英語で小泉八雲『耳なし芳一』(5)

原作は著作権フリーのThe Project Gutenberg、日本語訳は青空文庫、戸川明三訳


芳一は、世話になっている住職が用で出かけた後、一人になりましたが、するとどこからか声が聞こえてきて、盲目の芳一は…

In those times, the order of a samurai was not to be lightly disobeyed. Hoichi donned his sandals, took his biwa, and went away with the stranger, who guided him deftly, but obliged him to walk very fast. The hand that guided was iron; and the clank of the warrior's stride proved him fully armed,-- probably some palace-guard on duty.


・times=時代
・order=【名】 命令
・disobey=【自他動】 服従しない、背く
・the order of a samurai was not to be lightly disobeyed:不定詞「~べき」(義務)の用法、ここでは否定だから「~するべきではない、~してはいけない」。で、ここは「侍の命令は軽々しく逆らってはいけないものだった」の意味になる。
・don=【他動】身に着ける
・sandal:Japanese sandals(草履)と『英辞郎』に出ているので「草履」でいいでしょう(^_^;)一足なので複数ですね。
・went away=go away(【句動】 どこかへ行く、出掛ける)の過去形
・guide=【他動】 ~を導く、案内する
・deftly=【副】手際良く
・iron=【形】鉄の(ような)、 鉄製の
・clank=【名】ガチャガチャ鳴る音
・warrior【名】 武人、武士
・stride=【名】 歩幅、一またぎ、大股の足取り
・prove=【他動】~であると分かる、~であることが分かる[判明する]
・fully armed=全身鎧で覆われた
・the clank of the warrior's stride proved him fully armed=その武士が大股で歩くごとにガチャガチャと音がしたので、全身鎧で覆われていることがわかった。
・some=【形】 ある
・palace=【名】宮廷(天皇など高貴な人の住居)
・guard=【名】護衛者、見張り
・on duty=当番の、任務についている
・probably some palace-guard on duty=たぶんちょうど任務についている高貴な人の護衛なのだろう

当時、侍の命令と云えば容易に、反くわけにはいかなかった。で、芳一は草履をはき琵琶をもち、知らぬ人と一緒に出て行ったが、その人は巧者に芳一を案内して行ったけれども、芳一はよほど急ぎ足で歩かなければならなかった。また手引きをしたその手は鉄のようであった。武者の足どりのカタカタいう音はやがて、その人がすっかり甲冑を著けている事を示した――定めし何か殿居(とのい)の衛士ででもあろうか、


Hoichi's first alarm was over: he began to imagine himself in good luck; -- for, remembering the retainer's assurance about a "person of exceedingly high rank," he thought that the lord who wished to hear the recitation could not be less than a daimyo of the first class. Presently the samurai halted; and Hoichi became aware that they had arrived at a large gateway; -- and he wondered, for he could not remember any large gate in that part of the town, except the main gate of the Amidaji.


・alarm=【名】 (危険を認識したことによって起こる)恐怖、驚き、不安
・over=【形】終って
・imagine=【他動】 想像する、思う
・in good luck=幸運な
・for=【接続】 (その理由は)~だから
・retainer=【名】 家臣、家来:前回読んだところに”My present lord, a person of exceedingly high rank”と侍が言うところがある。これをassurance(=【名】断言)と言っている。だから、このretainerは高貴な主人に使える従者、この侍を指す。
・remembering the retainer's assurance about a "person of exceedingly high rank,"=その従者が「大変高貴な人」とはっきり言っているのを思い出して
・recitation=吟唱(漢詩・和歌などを、節をつけてうたうこと)
・could not be~=can not be~(=~ではありえない)の過去形(主文がhe thoughtと過去形だから)
・less than=~未満の、~に満たない
・could not be less than a daimyo of the first class=位が一番上の大名より下の身分の人であるはずがない
・文の構造:he thought〔that the lord [who wished to hear the recitation] could not be less than a daimyo of the first class〕.
・Presently=【副】やがて、間もなく
・halt=【自動】立ち止まる
・aware=【形】 (~に)気付いている、気が付いて
・gateway=【名】門
・wonder=【自動】 疑問に思う、不思議に思う
・in that part of the town=街のその辺りでは
・except the main gate of the Amidaji=阿弥陀寺の正門以外に

芳一の最初の驚きは去って、今や自分の幸運を考え始めた――何故かというに、この家来の人の「大した高い身分の人」と云った事を思い出し、自分の吟誦を聞きたいと所望された殿様は、第一流の大名に外ならぬと考えたからである。やがて侍は立ち止った。芳一は大きな門口に達したのだと覚った――ところで、自分は町のその辺には、阿彌陀寺の大門を外にしては、別に大きな門があったとは思わなかったので不思議に思った。


"Kaimon!"the samurai called,-- and there was a sound of unbarring; and the twain passed on. They traversed a space of garden, and halted again before some entrance; and the retainer cried in a loud voice, "Within there! I have brought Hoichi." Then came sounds of feet hurrying, and screens sliding, and rain-doors opening, and voices of women in converse. By the language of the women Hoichi knew them to be domestics in some noble household; but he could not imagine to what place he had been conducted. Little time was allowed him for conjecture.



・call=叫ぶ、 (大声で)呼ぶ
・"Kaimon!"the samurai called=「開門!」と侍が大声で言った
・unbar=【他動】 ~の横木[かんぬき・掛け金]を外す、(戸・門戸を)開く
・twain=【名・形】 〈古〉二つ(の)◆【同】two:ここでは芳一と侍の二人
・pass on=先へ進む
・traverse=~を横切る
・space=区域、場所、余地
・halt=立ち止まる
・retainer=家臣、家来
・Within there!:これはちょっとわからなかった。戸川氏は「これ誰れか内のもの!」と訳しておられる。thereは邸の中を指しているわけだ、納得。「これ誰かおらぬか!」ということだな(^_^;)
・brought=bring(連れてくる)の過去分詞
・in converse:この熟語では辞書にないし、よくわからなかったが、converseの意味は「逆・反対」と「談話」という意味があり、戸川氏の訳は「女達の話し声」となっている。voices of womenと複数形だ、納得、私の注意不足が露呈ですね、お恥ずかしい(^_^;)
・Then came sounds of feet hurrying, and screens sliding, and rain-doors opening, and voices of women in converse. =〔倒置構文〕Then sounds of feet hurrying, and screens sliding, and rain-doors opening, and voices of women in converse came.
・feet hurrying, screens sliding, rain-doors opening:(=せわしなく歩く音、ふすまを開け閉めする音、雨戸を開ける音)分詞構文、分詞の前の語は分詞の意味上の主語
・them=the women
・domestic=(女の)召使い、お手伝い
・noble=高貴な
・household=家族、家庭、世帯
・文の構造:he could not imagine 〔to what place he had been conducted
・conduct=【他動】(旅行者を)案内する
・Little=【形】 ほんの少ししかない、ほとんどない
・allow=【他動】~を許す
・conjecture=【名】 (不確実な情報に基づく)憶測、推測
・Little time was allowed him for conjecture.=どこに連れてこられたのだろうと考えている暇もなかった。

開門!」と侍は呼ばわった――すると閂を抜く音がして、二人は這入って行った。二人は広い庭を過ぎ再びある入口の前で止った。そこでこの武士は大きな声で「これ誰れか内のもの! 芳一を連れて来た」と叫んだ。すると急いで歩く跫音、襖のあく音、雨戸の開く音、女達の話し声などが聞えて来た。女達の言葉から察して、芳一はそれが高貴な家の召使である事を知った。しかしどういう処へ自分は連れられて来たのか見当が付かなかった。が、それをとにかく考えている間もなかった。


After he had been helped to mount several stone steps, upon the last of which he was told to leave his sandals, a woman's hand guided him along interminable reaches of polished planking, and round pillared angles too many to remember, and over widths amazing of matted floor,-- into the middle of some vast apartment. There he thought that many great people were assembled: the sound of the rustling of silk was like the sound of leaves in a forest. He heard also a great humming of voices,-- talking in undertones; and the speech was the speech of courts.



・mount=【他動】~に上がる[登る]
・stone step=石段
・upon the last of which:whichの先行詞はstone steps
・leave=【他動】 ~を残す、置きっぱなしにする:ここではleave his sandalsだから草履を「そこで脱ぐ」ということ
・interminable=【形】 ダラダラと続く、果てしのない、限りのない
・reach=広がり、広い場所<例>across the reaches of the world(世界中のいたるところに)、eastern reaches of(~の東部区域)
・polished=【形】 磨いた、磨き上げた
・planking=【名】 厚板材、板張り
・pillared=【形】 支柱のある
・angle=【名】 角、隅
・too many to remember=覚え切れないほどたくさん
・width=【名】広さ、幅、(生地などの)ひと幅、(水泳プールの)横の距離
・amazing=【形】 驚くべき、すごい
・matted floor:matには「ござ」という意味もあるがここでは「畳」、だから「畳を敷いた床」
・文の構造:~guided him along interminable reaches of polished planking, and round pillared angles too many to remember, and over widths amazing of matted floor:along, round, overは同格、too many to rememberはanglesの修飾語、amazingはwidthsの修飾語
・vast=【形】 広大な、非常に広い
・apartment=室、部屋
・great=偉い、高貴な
・were assembled=集まった、集合している
・rustling=さらさらと鳴ること
・humming=(はち・こまなどが)ぶんぶんいう音、鼻歌、ハミング:of voicesとなっているのでわかりにくいが戸川氏は「何んだかガヤガヤ云っている大勢の声」と訳しておられる。そうかgreatだしね、ガヤガヤはぴったり。
・talk in undertones=小声で話す
・speech=話し方
・court=宮中、宮廷

手を引かれて幾箇かの石段を登ると、その一番最後(しまい)の段の上で、草履をぬげと云われ、それから女の手に導かれて、拭(ふ)き込んだ板鋪のはてしのない区域を過ぎ、覚え切れないほどたくさんな柱の角をり、驚くべきほど広い畳を敷いた床を通り――大きな部屋の真中に案内された。そこに大勢の人が集っていたと芳一は思った。絹のすれる音は森の木の葉の音のようであった。それからまた何んだかガヤガヤ云っている大勢の声も聞えた――低音で話している。そしてその言葉は宮中の言葉であった。

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