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英語でアンデルセン童話「雪の女王」18

原点はProject Gutenberg、邦訳は青空文庫、楠山正雄訳を使わせていただきます。

前回は、ReindeerがFinland womanに、どうかゲルダに雪の女王に打ち勝つ力を与えてほしいと頼んだところでした。


But the Reindeer begged so hard for little Gerda, and Gerda looked so imploringly with tearful eyes at the Finland woman, that she winked, and drew the Reindeer aside into a corner, where they whispered together, while the animal got some fresh ice put on his head.


・imploringly=懇願して
・drew~aside:draw~aside=~を脇に引き寄せる[引っ張っていく]、~を脇へ連れていく


でも、となかいは、かわいいゲルダのために、またいっしょうけんめい、その女の人にたのみました。ゲルダも目に涙をいっぱいためて、おがむように、フィンランドの女を見あげました。女はまた目をしばたたきはじめました。そして、となかいをすみのほうへつれていって、そのあたまにあたらしい氷をのせてやりながら、こうつぶやきました。


"'Tis true little Kay is at the Snow Queen's, and finds everything there quite to his taste; and he thinks it the very best place in the world; but the reason of that is, he has a splinter of glass in his eye, and in his heart. These must be got out first; otherwise he will never go back to mankind, and the Snow Queen will retain her power over him."


・quite=まったく
・to his taste=好みに合った、気に入った
・splinter=破片
・got out:get out=取り出す
・retain=持ち続ける


「カイって子は、ほんとうに雪の女王のお城にいるのだよ。そして、そこにあるものはなんでも気にいってしまって、世界にこんないいところはないとおもっているんだよ。けれどそれというのも、あれの目のなかには、鏡のかけらがはいっているし、しんぞうのなかにだって、ちいさなかけらがはいっているからなのだよ。だからそんなものを、カイからとりだしてしまわないうちは、あれはけっしてまにんげんになることはできないし、いつまでも雪の女王のいうなりになっていることだろうよ。」


とにかく、カイの目と心に入ったガラスの破片を取り除くこと……


"But can you give little Gerda nothing to take which will endue her with power over the whole?"


"I can give her no more power than what she has already. Don't you see how great it is? Don't you see how men and animals are forced to serve her; how well she gets through the world barefooted? She must not hear of her power from us; that power lies in her heart, because she is a sweet and innocent child! If she cannot get to the Snow Queen by herself, and rid little Kay of the glass, we cannot help her. Two miles hence the garden of the Snow Queen begins; thither you may carry the little girl. Set her down by the large bush with red berries, standing in the snow; don't stay talking, but hasten back as fast as possible." And now the Finland woman placed little Gerda on the Reindeer's back, and off he ran with all imaginable speed.


・endue=(才能などを)賦与する
・over the whole=すべてにわたる
・She must not hear of her power from us:みんながゲルダのために何かせずにはいられなくなる、そういう力がゲルダにある、でもそれをゲルダに知らせてはいけない、意識させてはいけない、その力は純粋なゲルダの心にあるのだから、ということでしょうか。
・sweet=優しい、思いやりのある
・innocent=純真な、邪心の無い
・rid…of~=…から~(望ましくないもの)を取り除く
・hence=ここから
・thither=あそこへ
・berries:berry=(イチゴ、ブドウなどの)実
・imaginable=想像できる限りの


20070914130904






「では、どんなものにも、うちかつことのできる力になるようなものを、ゲルダちゃんにくださるわけにはいかないでしょうか。」
「このむすめに、うまれついてもっている力よりも、大きな力をさずけることは、わたしにはできないことなのだよ。まあ、それはおまえさんにも、あのむすめがいまもっている力が、どんなに大きな力だかわかるだろう。ごらん、どんなにして、いろいろと人間やどうぶつが、あのむすめひとりのためにしてやっているか、どんなにして、はだしのくせに、あのむすめがよくもこんなとおくまでやってこられたか。それだもの、あのむすめは、わたしたちから、力をえようとしてもだめなのだよ。それはあのむすめの心のなかにあるのだよ。それがかわいいむじゃきなこどもだというところにあるのだよ。もし、あのむすめが、自分で雪の女王のところへ、でかけていって、カイからガラスのかけらをとりだすことができないようなら、まして、わたしたちの力におよばないことさ。もうここから二マイルばかりで、雪の女王のお庭の入口になるから、おまえはそこまで、あの女の子をはこんでいって、雪の中で、赤い実(み)をつけてしげっている、大きな木やぶのところに、おろしてくるがいい。それで、もうよけいな口をきかないで、さっさとかえっておいで。」
 こういって、フィンランドの女は、ゲルダを、となかいのせなかにのせました。そこで、となかいは、ぜんそくりょくで、はしりだしました。


"Oh! I have not got my boots! I have not brought my gloves!" cried little Gerda. She remarked she was without them from the cutting frost; but the Reindeer dared not stand still; on he ran till he came to the great bush with the red berries, and there he set Gerda down, kissed her mouth, while large bright tears flowed from the animal's eyes, and then back he went as fast as possible. There stood poor Gerda now, without shoes or gloves, in the very middle of dreadful icy Finland.


・remark=~に気付く
・cutting frost=身を切るような寒気
・dare=あえて~する
・bright=輝く
・dreadful=恐ろしい


「ああ、あたしは、長ぐつをおいてきたわ。手ぶくろもおいてきてしまった。」と、ゲルダはさけびました。
 とたんに、ゲルダは身をきるようなさむさをかんじました。でも、となかいはけっしてとまろうとはしませんでした。それは赤い実(み)のなった木やぶのところへくるまで、いっさんばしりに、はしりつづけました。そして、そこでゲルダをおろして、くちのところにせっぷんしました。
 大つぶの涙が、となかいの頬(ほお)を流れました。それから、となかいはまた、いっさんばしりに、はしっていってしまいました。かわいそうに、ゲルダは、くつもはかず、手ぶくろもはめずに、氷にとじられた、さびしいフィンマルケンのまっただなかに、ひとりとりのこされて立っていました。


She ran on as fast as she could. There then came a whole regiment of snow-flakes, but they did not fall from above, and they were quite bright and shining from the Aurora Borealis. The flakes ran along the ground, and the nearer they came the larger they grew. Gerda well remembered how large and strange the snow-flakes appeared when she once saw them through a magnifying-glass; but now they were large and terrific in another manner--they were all alive. They were the outposts of the Snow Queen. They had the most wondrous shapes; some looked like large ugly porcupines; others like snakes knotted together, with their heads sticking out; and others, again, like small fat bears, with the hair standing on end: all were of dazzling whiteness--all were living snow-flakes.


・a whole regiment of=非常にたくさんの
・Aurora Borealis=北極光(オーロラ):aurora australis=南極光
・magnifying-glass=ルーペ、拡大鏡、虫眼鏡
・terrific=〔大きさや程度などが〕激しい、ものすごい、〈古〉怖い、恐ろしい
・in another manner=違った風に、違ったやり方で
・outpost=前哨基地、出先機関
・wondrous=驚くべき
・porcupine=《動物》ヤマアラシ
・knotted=もつれた
・on end=直立して


ゲルダは、いっしょうけんめいかけだしました。すると、雪の大軍が、むこうからおしよせてきました。
 けれど、その雪は、空からふってくるのではありません。空は極光(オーロラ)にてらされて、きらきらかがやいていました。雪は地面の上をまっすぐに走ってきて、ちかくにくればくるほど、形が大きくなりました。ゲルダは、いつか虫めがねでのぞいたとき、雪のひとひらがどんなにか大きくみえたことを、まだおぼえていました。けれども、ここの雪はほんとうに、ずっと大きく、ずっとおそろしくみえました。この雪は生きていました。それは雪の女王の前哨(ぜんしょう)でした。そして、ずいぶんへんてこな形をしていました。大きくてみにくい、やまあらしのようなものもいれば、かまくびをもたげて、とぐろをまいているへびのようなかっこうのもあり、毛のさかさにはえた、ふとった小ぐまににたものもありました。それはみんなまぶしいように、ぎらぎら白くひかりました。これこそ生きた雪の大軍でした。


Little Gerda repeated the Lord's Prayer. The cold was so intense that she could see her own breath, which came like smoke out of her mouth. It grew thicker and thicker, and took the form of little angels, that grew more and more when they touched the earth. All had helms on their heads, and lances and shields in their hands; they increased in numbers; and when Gerda had finished the Lord's Prayer, she was surrounded by a whole legion. They thrust at the horrid snow-flakes with their spears, so that they flew into a thousand pieces; and little Gerda walked on bravely and in security. The angels patted her hands and feet; and then she felt the cold less, and went on quickly towards the palace of the Snow Queen.


・Lord's Prayer=主の祈り
・grew:grow=大きくなる
・helm=〔古〕かぶと(helmet)
・lance=槍
・shield=盾
・legion=【史】(古代ローマの)軍団、軍
・thrust:thrust(突き刺す)の過去・過去分詞形
・horrid=恐ろしい、ひどく嫌な
・spear=やり
・in security=安全に、無事に20070914133328






そこでゲルダは、いつもの主(しゅ)の祈の「われらの父」をとなえました。さむさはとてもひどくて、ゲルダはじぶんのつくいきを見ることができました。それは、口からけむりのようにたちのぼりました。そのいきはだんだんこくなって、やがてちいさい、きゃしゃな天使になりました。それが地びたにつくといっしょに、どんどん大きくなりました。天使たちはみな、かしらにはかぶとをいただき、手には楯(たて)とやりをもっていました。天使の数はだんだんふえるばかりでした。そして、ゲルダが主のおいのりをおわったときには、りっぱな天使軍の一たいが、ゲルダのぐるりをとりまいていました。天使たちはやりをふるって、おそろしい雪のへいたいをうちたおすと、みんなちりぢりになってしまいました。そこでゲルダは、ゆうきをだして、げんきよく進んで行くことができました。天使たちは、ゲルダの手と足とをさすりました。するとゲルダは、前ほどさむさを感じなくなって、雪の女王のお城をめがけていそぎました。


But now we shall see how Kay fared. He never thought of Gerda, and least of all that she was standing before the palace. 


・fare=やっていく
・least of all ~=最も~ない:「宮殿の前にゲルダがいるなんて最もカイが思い付かなかったことだ」


ところで、カイは、あののち、どうしていたでしょう。それからまずお話をすすめましょう。カイは、まるでゲルダのことなど、おもってはいませんでした。だから、ゲルダが、雪の女王のごてんまできているなんて、どうして、ゆめにもおもわないことでした。


さあ、いよいよ再会!

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英語でアンデルセン童話「雪の女王」17

原点はProject Gutenberg、邦訳は青空文庫、楠山正雄訳を使わせていただきます。

SIXTH STORY. The Lapland Woman and the Finland Woman


第六のお話
ラップランドの女とフィンランドの女

Suddenly they stopped before a little house, which looked very miserable. The roof reached to the ground; and the door was so low, that the family were obliged to creep upon their stomachs when they went in or out. Nobody was at home except an old Lapland woman, who was dressing fish by the light of an oil lamp. And the Reindeer told her the whole of Gerda's history, but first of all his own; for that seemed to him of much greater importance. Gerda was so chilled that she could not speak.


・creep upon their stomachs=腹ばいで進む
・Lapland=ラップランド (Scandinavia最北部地方)
・dress=《料理》~の下ごしらえをする
・chilled=体が冷えて


ちいさな、そまつなこやの前で、となかいはとまりました。そのこやはたいそうみすぼらしくて、屋根(やね)は地面(じめん)とすれすれのところまでも、おおいかぶさっていました。そして、戸口がたいそうひくくついているものですから、うちの人が出たり、はいったりするときには、はらばいになって、そこをくぐらなければなりませんでした。その家には、たったひとり年とったラップランドの女がいて、鯨油(げいゆ)ランプのそばで、おさかなをやいていました。となかいはそのおばあさんに、ゲルダのことをすっかり話してきかせました。でも、その前にじぶんのことをまず話しました。となかいは、じぶんの話のほうが、ゲルダの話よりたいせつだとおもったからでした。
 ゲルダはさむさに、ひどくやられていて、口をきくことができませんでした。


"Poor thing," said the Lapland woman, "you have far to run still. You have more than a hundred miles to go before you get to Finland; there the Snow Queen has her country-house, and burns blue lights every evening. I will give you a few words from me, which I will write on a dried haberdine, for paper I have none; this you can take with you to the Finland woman, and she will be able to give you more information than I can."


・have far to run still=まだこれからずっと走らなければならない(先は長い)
・country-house=田舎の大邸宅
・haberdine=a cod(《魚》タラ) salted and dried


「やれやれ、それはかわいそうに。」と、ラップランドの女はいいました。「おまえたちはまだまだ、ずいぶんとおくはしって行かなければならないよ。百マイル以上も北の*フィンマルケンのおくふかくはいらなければならないのだよ。雪の女王はそこにいて、まい晩、青い光を出す花火をもやしているのさ。わたしは紙をもっていないから、干鱈(ひだら)のうえに、てがみをかいてあげよう。これをフィンランドの女のところへもっておいで。その女のほうが、わたしよりもくわしく、なんでも教えてくれるだろうからね。」

*ノルウェーの北端、最低地方。


When Gerda had warmed herself, and had eaten and drunk, the Lapland woman wrote a few words on a dried haberdine, begged Gerda to take care of them, put her on the Reindeer, bound her fast, and away sprang the animal. "Ddsa! Ddsa!" was again heard in the air; the most charming blue lights burned the whole night in the sky, and at last they came to Finland. They knocked at the chimney of the Finland woman; for as to a door, she had none.


・beg=~を懇願する
・bound=bind(縛る)の過去形


さてゲルダのからだもあたたまり、たべものやのみものでげんきをつけてもらったとき、ラップランドの女は、干鱈(ひだら)に、ふたことみこと、もんくをかきつけて、それをたいせつにもっていくように、といってだしました。ゲルダは、またとなかいにいわえつけられてでかけました。ひゅッひゅッ、空の上でまたいいました。ひと晩中、この上もなくうつくしい青色をした、極光(オーロラ)がもえていました。――さて、こうして、となかいとゲルダとは、フィンマルケンにつきました。そして、フィンランドの女の家のえんとつを、こつこつたたきました。だってその家には、戸口もついていませんでした。


There was such a heat inside that the Finland woman herself went about almost naked. She was diminutive and dirty. She immediately loosened little Gerda's clothes, pulled off her thick gloves and boots; for otherwise the heat would have been too great--and after laying a piece of ice on the Reindeer's head, read what was written on the fish-skin. She read it three times: she then knew it by heart; so she put the fish into the cupboard--for it might very well be eaten, and she never threw anything away.


・went about:go about=動き回る、歩き回る
・diminutive=小柄の
・loosen=緩める
・pull off=脱がせる
・otherwise=さもなければ
・might well:may well=おそらく~だろう


家の中は、たいへんあついので、その女の人は、まるではだか同様でした。せいのひくいむさくるしいようすの女でした。女はすぐに、ゲルダの着物や、手ぶくろや、ながぐつをぬがせました。そうしなければ、とてもあつくて、そこにはいられなかったからです。それから、となかいのあたまの上に、ひとかけ、氷のかたまりを、のせてやりました。そして、ひだらにかきつけてあるもんくを、三べんもくりかえしてよみました。そしてすっかりおぼえこんでしまうと、スープをこしらえる大なべの中へ、たらをなげこみました。そのたらはたべることができたからで、この女の人は、けっしてどんなものでも、むだにはしませんでした。


Then the Reindeer related his own story first, and afterwards that of little Gerda; and the Finland woman winked her eyes, but said nothing.


・relate=~を話す、述べる、物語る
・wink=まばたきする


さて、となかいは、まずじぶんのことを話して、それからゲルダのことを話しました。するとフィンランドの女は、そのりこうそうな目をしばたたいただけで、なにもいいませんでした。


"You are so clever," said the Reindeer; "you can, I know, twist all the winds of the world together in a knot. If the seaman loosens one knot, then he has a good wind; if a second, then it blows pretty stiffly; if he undoes the third and fourth, then it rages so that the forests are upturned. Will you give the little maiden a potion, that she may possess the strength of twelve men, and vanquish the Snow Queen?"


・twist=巻く、寄り合わせる
・knot=(糸などの)からみ合った塊、集団、群れ
・seaman=船乗り
・second=二番目
・stiffly=激しく
・undo=緩める
・rage=猛威を振るう、荒れる
・upturned=〔物が〕ひっくり返された
・potion=(妙)薬
・vanquish=負かす、~に勝つ


「あなたは、たいそう、かしこくていらっしゃいますね。」と、となかいは、いいました。「わたしはあなたが、いっぽんのより糸で、世界中の風をつなぐことがおできになると、きいております。もしも舟のりが、そのいちばんはじめのむすびめをほどくなら、つごうのいい追風がふきます。二ばんめのむすびめだったら、つよい風がふきます。三ばんめと四ばんめをほどくなら、森ごとふきたおすほどのあらしがふきすさみます。どうか、このむすめさんに、十二人りきがついて、しゅびよく雪の女王にかてますよう、のみものをひとつ、つくってやっていただけませんか。」


"The strength of twelve men!" said the Finland woman. "Much good that would be!" Then she went to a cupboard, and drew out a large skin rolled up. When she had unrolled it, strange characters were to be seen written thereon; and the Finland woman read at such a rate that the perspiration trickled down her forehead.


・drew out:draw out=引っ張り出す
・skin=皮、獣皮
・character=文字
・thereon=その上に
・rate=速度
・perspiration=汗◆sweat より上品な語
・trickle down=〔汗などが〕流れ落ちる


「十二人りきかい。さぞ役にたつ[#「たつ」は底本では「たっ」]だろうよ。」と、フィンランド[#「フィンランド」は底本では「フィランド」]の女はくりかえしていいました。
 それから女の人は、たなのところへいって、大きな毛皮のまいたものをもってきてひろげました。それには、ふしぎなもんじがかいてありましたが、フィンランドの女は、ひたいから、あせがたれるまで、それをよみかえしました。


この汗の意味はいったい何でしょう?

英語でアンデルセン童話「雪の女王」16

原点はProject Gutenberg、邦訳は青空文庫、楠山正雄訳を使わせていただきます。

Then the Wood-pigeons said, "Coo! Coo! We have seen little Kay! A white hen carries his sledge; he himself sat in the carriage of the Snow Queen, who passed here, down just over the wood, as we lay in our nest. She blew upon us young ones; and all died except we two. Coo! Coo!"


・blew upon us=私たちの上を急いで通り過ぎて行った


そのとき、森のはとが、こういいました。
「くう、くう、わたしたち、カイちゃんを見ましたよ。一わの白いめんどりが、カイちゃんのそりをはこんでいました。カイちゃんは雪の女王のそりにのって、わたしたちが、巣にねていると、森のすぐ上を通っていったのですよ。雪の女王は、わたしたち子ばとに、つめたいいきをふきかけて、ころしてしまいました。たすかったのは、わたしたち二わだけ、くう、くう。」


"What is that you say up there?" cried little Gerda. "Where did the Snow Queen go to? Do you know anything about it?"


"She is no doubt gone to Lapland; for there is always snow and ice there. Only ask the Reindeer, who is tethered there."


"Ice and snow is there! There it is, glorious and beautiful!" said the Reindeer. "One can spring about in the large shining valleys! The Snow Queen has her summer-tent there; but her fixed abode is high up towards the North Pole, on the Island called Spitzbergen."


"Oh, Kay! Poor little Kay!" sighed Gerda.


"Do you choose to be quiet?" said the robber maiden. "If you don't, I shall make you."


・Lapland=ラップランド、スカンジナビア半島北部
・Reindeer=トナカイ
・tether=つなぐ
・glorious=壮大な
・spring about=跳ね回る
・abode=住居


「まあ、なにをそこでいってるの。」と、ゲルダが、つい大きなこえをしました。「その雪の女王さまは、どこへいったのでしょうね。そのさきのこと、なにかしっていて。おしえてよ。」
「たぶん、*ラップランドのほうへいったのでしょうよ。そこには、年中、氷や雪がありますからね。まあ、つながれている、となかいに、きいてごらんなさい。」

*ヨーロッパ洲の極北、スカンジナビア半島の北東部、四〇万平方キロ一帯の寒い土地。遊牧民のラップ人がすむ。

 すると、となかいがひきとって、
「そこには年中、氷や雪があって、それはすばらしいみごとなものですよ。」といいました。
「そこでは大きな、きらきら光る谷まを、自由にはしりまわることができますし、雪の女王は、そこに夏のテントをもっています。でも女王のりっぱな本城(ほんじょう)は、もっと北極のほうの、*スピッツベルゲンという島の上にあるのです。」

*ノルウェーのはるか北、北極海にちかい小島群(一名スヴァルバルド)。

「ああ、カイちゃんは、すきなカイちゃんは。」と、ゲルダはためいきをつきました。
「しずかにしなよ。しないと、ナイフをからだにつきさすよ。」と、おいはぎのこむすめがいいました。


In the morning Gerda told her all that the Wood-pigeons had said; and the little maiden looked very serious, but she nodded her head, and said, "That's no matter--that's no matter. Do you know where Lapland lies!" she asked of the Reindeer.


"Who should know better than I?" said the animal; and his eyes rolled in his head. "I was born and bred there--there I leapt about on the fields of snow."


・bred=breed(育てる)の過去分詞形
・leapt about=跳ね回っていた


あさになって、ゲルダは、森のはとが話したことを、すっかりおいはぎのこむすめに話しました。するとむすめは、たいそうまじめになって、うなずきながら、
「まあいいや。どっちにしてもおなじことだ。」と、いいました。そして、
「おまえ、ラップランドって、どこにあるのかしってるのかい。」と、むすめは、となかいにたずねました。
「わたしほど、それをよくしっているものがございましょうか。」と、目をかがやかしながら、となかいがこたえました。「わたしはそこで生まれて、そだったのです。わたしはそこで、雪の野原を、はしりまわっていました。」


"Listen," said the robber maiden to Gerda. "You see that the men are gone; but my mother is still here, and will remain. However, towards morning she takes a draught out of the large flask, and then she sleeps a little: then I will do something for you." She now jumped out of bed, flew to her mother; with her arms round her neck, and pulling her by the beard, said, "Good morrow, my own sweet nanny-goat of a mother." And her mother took hold of her nose, and pinched it till it was red and blue; but this was all done out of pure love.


・draught=〈英〉=draft=ドラフトビール、生ビール
・flask=〔ウイスキーなどの〕フラスコ瓶◆平らで薄く携帯できるように作られたもの
・Good morrow=Good morning
・nanny-goat=雌やぎ


「ごらん。みんなでかけていってしまうだろう。おっかさんだけがうちにいる。おっかさんは、ずっとうちにのこっているのよ。でもおひるちかくなると、大きなびんからお酒をのんで、すこしのあいだ、ひるねするから、そのとき、おまえにいいことをしてあげようよ。」と、おいはぎのこむすめはゲルダにいいました。
 それから女の子は、ぱんと、ねどこからはねおきて、おっかさんのくびのまわりにかじりついて、おっかさんのひげをひっぱりながら、こういいました。
「かわいい、めやぎさん、おはようございます。」
 すると、おっかさんは、女の子のはなが赤くなったり紫色(むらさきいろ)になったりするまで、ゆびではじきました。
 でもこれは、かわいくてたまらない心からすることでした。


おお、乱暴なお母さん!(笑)


When the mother had taken a sup at her flask, and was having a nap, the little robber maiden went to the Reindeer, and said, "I should very much like to give you still many a tickling with the sharp knife, for then you are so amusing; however, I will untether you, and help you out, so that you may go back to Lapland. But you must make good use of your legs; and take this little girl for me to the palace of the Snow Queen, where her playfellow is. You have heard, I suppose, all she said; for she spoke loud enough, and you were listening."


・sup=一口、一すすり
・should like to=~したい
・tickling=くすぐること


おっかさんが、びんのお酒をのんで、ねてしまったとき、おいはぎのこむすめは、となかいのところへいって、こういいました。
「わたしはもっと、なんべんも、なんべんも、ナイフでおまえを、くすぐってやりたいのだよ。だって、ずいぶんおかしいんだもの、でも、もういいさ。あたい、おまえがラップランドへ行けるように、つなをほどいてにがしてやろう。けれど、おまえはせっせとはしって、この子を、この子のおともだちのいる、雪の女王のごてんへ、つれていかなければいけないよ。おまえ、この子があたいに話していたこと、きいていたろう。とても大きなこえで話したし、おまえも耳をすまして、きいていたのだから。」


The Reindeer gave a bound for joy. The robber maiden lifted up little Gerda, and took the precaution to bind her fast on the Reindeer's back; she even gave her a small cushion to sit on. "Here are your worsted leggins, for it will be cold; but the muff I shall keep for myself, for it is so very pretty. But I do not wish you to be cold. Here is a pair of lined gloves of my mother's; they just reach up to your elbow. On with them! Now you look about the hands just like my ugly old mother!"


・bound=跳躍
・precaution=用心、予防策
・worsted=梳毛糸(そもうし)製の:梳毛=羊毛などの繊維をすいて長い繊維を残し、平行に並べて引き伸ばし、撚りをかけて糸にすること
・leggins=leggings=レギンス(子供用の短めのズボン)
・lined=裏地のついた


となかいはよろこんで、高くはねあがりました。その背中においはぎのこむすめは、ゲルダをのせてやりました。そして用心(ようじん)ぶかく、ゲルダをしっかりいわえつけて、その上、くらのかわりに、ちいさなふとんまで、しいてやりました。
「まあ、どうでもいいや。」と、こむすめはいいました。「そら、おまえの毛皮のながぐつだよ。だんだんさむくなるからね。マッフはきれいだからもらっておくわ。けれど、おまえにさむいおもいはさせないわ。ほら、おっかさんの大きなまる手ぶくろがある。おまえなら、ひじのところまで、ちょうどとどくだろう。まあ、これをはめると、おまえの手が、まるであたいのいやなおっかさんの手のようだよ。」と、むすめはいいました。


And Gerda wept for joy.


"I can't bear to see you fretting," said the little robber maiden. "This is just the time when you ought to look pleased. Here are two loaves and a ham for you, so that you won't starve." The bread and the meat were fastened to the Reindeer's back; the little maiden opened the door, called in all the dogs, and then with her knife cut the rope that fastened the animal, and said to him, "Now, off with you; but take good care of the little girl!"


・fret=くよくよする
・loaves:loaf=ひと塊のパン
・starve=飢え死にする
・off with you=出ていけ、消えうせろ


ゲルダは、もううれしくて、涙(なみだ)がこぼれました。
「泣くなんて、いやなことだね。」と、おいはぎのこむすめはいいました。「ほんとは、うれしいはずじゃないの。さあ、ここにふたつ、パンのかたまりと、ハムがあるわ。これだけあれば、ひもじいおもいはしないだろう。」
 これらの品じなは、となかいの背中のうしろにいわえつけられました。おいはぎのむすめは戸をあけて、大きな犬をだまして、中にいれておいて、それから、よくきれるナイフでつなをきると、となかいにむかっていいました。
「さあ、はしって。そのかわり、その子に、よく気をつけてやってよ。」


And Gerda stretched out her hands with the large wadded gloves towards the robber maiden, and said, "Farewell!" and the Reindeer flew on over bush and bramble through the great wood, over moor and heath, as fast as he could go.


"Ddsa! Ddsa!" was heard in the sky. It was just as if somebody was sneezing.


"These are my old northern-lights," said the Reindeer, "look how they gleam!" And on he now sped still quicker--day and night on he went: the loaves were consumed, and the ham too; and now they were in Lapland.


・wadded=綿入れの
・bramble=イバラ◆バラやバラに似たとげのある低木の総称
・moor=荒地、沼地
・heath=ヒース(ヨーロッパおよび南アフリカ原産のエリカ属の常緑低木)、荒地、荒野
・old=昔なじみの
・sped:speed=疾走する
・consume=~を食べつくす


そのとき、ゲルダは、大きなまる手ぶくろをはめた両手を、おいはぎのこむすめのほうにさしのばして、「さようなら。」といいました。
 とたんに、となかいはかけだしました。木の根、岩かどをとびこえ、大きな森をつきぬけて、沼地や草原もかまわず、いっしょうけんめい、まっしぐらにはしっていきました。おおかみがほえ、わたりがらすがこえをたてました。ひゅッ、ひゅッ、空で、なにか音がしました。それはまるで花火があがったように。
「あれがわたしのなつかしい北極(オーロラ)光です。」と、となかいがいいました。「ごらんなさい。なんてよく、かがやいているでしょう。」
 それからとなかいは、ひるも夜も、前よりももっとはやくはしって行きました。
 パンのかたまりもなくなりました。ハムもたべつくしました。となかいとゲルダとは、ラップランドにつきました。


盗賊の娘だったけど優しいところがある子だったわけね。ゲルダは幸運!20070810031427

英語でアンデルセン童話「雪の女王」15

原点はProject Gutenberg、邦訳は青空文庫、楠山正雄訳を使わせていただきます。

In the midst of the large, old, smoking hall burnt a great fire on the stone floor. The smoke disappeared under the stones, and had to seek its own egress. In an immense caldron soup was boiling; and rabbits and hares were being roasted on a spit.


・smoking=煙っている
・egress=〈文〉出口
・immense=巨大な
・caldron=大釜
・rabbit=《動》ウサギ◆ウサギ目ウサギ科(Leporidae)のうち、主にペットとして飼われる小型のものを指す
・hare=野ウサギ(rabbit より大型)
・spit=串、細い棒


大きな、煤(すす)けたひろまには、煙がもうもうしていて、たき火が、赤あかと石だたみのゆか上でもえていました。煙はてんじょうの下にたちまよって、どこからともなくでていきました。大きなおなべには、スープがにえたって、大うさぎ小うさぎが、あぶりぐしにさして、やかれていました。


"You shall sleep with me to-night, with all my animals," said the little robber maiden. They had something to eat and drink; and then went into a corner, where straw and carpets were lying. Beside them, on laths and perches, sat nearly a hundred pigeons, all asleep, seemingly; but yet they moved a little when the robber maiden came. "They are all mine," said she, at the same time seizing one that was next to her by the legs and shaking it so that its wings fluttered. "Kiss it," cried the little girl, and flung the pigeon in Gerda's face. "Up there is the rabble of the wood," continued she, pointing to several laths which were fastened before a hole high up in the wall; "that's the rabble; they would all fly away immediately, if they were not well fastened in. And here is my dear old Bac"; and she laid hold of the horns of a reindeer, that had a bright copper ring round its neck, and was tethered to the spot. "We are obliged to lock this fellow in too, or he would make his escape. Every evening I tickle his neck with my sharp knife; he is so frightened at it!" and the little girl drew forth a long knife, from a crack in the wall, and let it glide over the Reindeer's neck. The poor animal kicked; the girl laughed, and pulled Gerda into bed with her.


・lath=木摺(きずり=塗り壁の下地として、少しずつ間をあけて取りつけた小幅の貫板)
・perch=止まり木、休む場所
・seemingly=見たところ
・flung:fling=投げつける、放り出す
・rabble=群れ、無秩序な群集
・fasten=(動物を)囲う、閉じ込める
・laid hold of:lay hold of=~を握る[つかむ]
・reindeer=《動物》トナカイ
・tether=〔動物を〕つなぐ
・are obliged to=余儀なく[やむなく・仕方なしに]~する
・tickle=~をくすぐる
・drew forth:draw forth=引き出す、引き抜く


「おまえは、こん夜は、あたいや、あたいのちいさなどうぶつといっしょにねるのよ。」と、おいはぎのこむすめがいいました。
 ふたりはたべものと、のみものをもらうと、わらや、しきものがしいてある、へやのすみのほうへ行きました。その上には、百ぱよりも、もっとたくさんのはとが、ねむったように、木摺(きずり)や、とまり木にとまっていましたが、ふたりの女の子がきたときには、ちょっとこちらをむきました。
「みんな、このはと、あたいのものなのよ。」と、おいはぎのこむすめはいって、てばやく、てぢかにいた一わをつかまえて、足をゆすぶったので、はとは、羽根をばたばたやりました。
「せっぷんしておやりよ。」と、いって、おいはぎのこむすめは、それを、ゲルダの顔になげつけました。
「あすこにとまっているのが、森のあばれものさ。」と、そのむすめは、かべにあけたあなに、うちこまれたとまり木を、ゆびさしながら、また話しつづけました。「あれは二わとも森のあばれものさ。しっかり、とじこめておかないと、すぐにげていってしまうの。ここにいるのが、昔からおともだちのベーよ。」
 こういって、女の子は、ぴかぴかみがいた、銅(どう)のくびわをはめたままつながれている、一ぴきのとなかいを、[#「とかないを、」に傍点]つのをもってひきだしました。
「これも、しっかりつないでおかないと、にげていってしまうの。だから、あたいはね、まい晩よくきれるナイフで、くびのところをくすぐってやるんだよ。すると、それはびっくりするったらありゃしない。」
 そういいながら、女の子はかべのわれめのところから、ながいナイフをとりだして、それをとなかいのくびにあてて、そろそろなでました。かわいそうに、そのけものは、足をどんどんやって、苦しがりました。むすめは、おもしろそうにわらって、それなりゲルダをつれて、ねどこに行きました。


"Do you intend to keep your knife while you sleep?" asked Gerda; looking at it rather fearfully.


"I always sleep with the knife," said the little robber maiden. "There is no knowing what may happen. But tell me now, once more, all about little Kay; and why you have started off in the wide world alone." And Gerda related all, from the very beginning: the Wood-pigeons cooed above in their cage, and the others slept. The little robber maiden wound her arm round Gerda's neck, held the knife in the other hand, and snored so loud that everybody could hear her; but Gerda could not close her eyes, for she did not know whether she was to live or die. The robbers sat round the fire, sang and drank; and the old female robber jumped about so, that it was quite dreadful for Gerda to see her.


・There is no ~ing=~することができない
・start off=出発する、旅に出る
・relate=~を話す
・wood pigeon=《鳥》モリバト、ジュズカケバト
・coo=(ハトが)クークー鳴く
・snore=いびきをかく


「あなたはねているあいだ、ナイフをはなさないの。」と、ゲルダは、きみわるそうに、それをみました。
「わたい、しょっちゅうナイフをもっているよ。」と、おいはぎのこむすめはこたえました。
「なにがはじまるかわからないからね。それよか、もういちどカイちゃんって子の話をしてくれない、それから、どうしてこのひろい世界に、あてもなくでてきたのか、そのわけを話してくれないか。」
 そこで、ゲルダははじめから、それをくりかえしました。森のはとが、頭の上のかごの中でくうくういっていました。ほかのはとはねむっていました。おいはぎのこむすめは、かた手をゲルダのくびにかけて、かた手にはナイフをもったまま、大いびきをかいてねてしまいました。けれども、ゲルダは、目をつぶることもできませんでした。ゲルダは、いったい、じぶんは生かしておかれるのか、ころされるのか、まるでわかりませんでした。
 たき火のぐるりをかこんで、おいはぎたちは、お酒をのんだり、歌をうたったりしていました。そのなかで、ばあさんがとんぼをきりました。ちいさな女の子にとっては、そのありさまを見るだけで、こわいことでした。


「とんぼをきりました」というのは、とんぼがえりをしたということですね。

とんぼ=歌舞伎で、役者が立ち回り中に切られたり投げられたりしたときなどに、手をつかずに宙返りすること。とんぼがえり。「―を切る」

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